こんにちは
テンプラサイクルのゴウです。
テンプラサイクルはもともと中古のNJS(競輪)フレームの販売やカスタムをきっかけにスタートした自転車屋です。
なので社長含めスタッフも鉄や鋼製自転車に思い入れが深く、[Steel is real] とは切っても切り離せない関係であると言えます。
アルミやチタンなど他の金属製の自転車に乗っても、結局クロモリ鋼の自転車に戻ってきてしまう謎の引力が鉄や鋼にはあるのかも知れません。
ではカーボンはどうか?
一部では「Carbon is unreal」と言われるほど、鋼やアルミ、チタンなどの金属と比べ、強度・剛性・デザインの自由度・軽量さ・耐久性などが素材として高性能なカーボン。
自転車では一般的にカーボン製というと、各メーカーのミドルグレード〜ハイエンドモデルを指します。
自分はというと、今までに乗ってきた自転車はクロモリ鋼製のものが圧倒的に多く、過去20台以上の自転車に乗ってアルミニウム合金製は2台、カーボン製はWarbird Carbonが初めての所有でした。
Warbird Carbonを購入したのは、グラベルライドやロングライドで自転車を使ううちに、クロモリ鋼のしなやかな乗り心地より重量の重さが気になり始め、乗るにつれて自転車の重量がストレスになってしまった事が理由の1つです。
ロングライドでの終盤のしんどさ、峠道の登りで途轍もない重力を感じたり、グラベルでのバイクコントロールに余分な筋力を割くことも少なくありませんでした。
(以前乗っていたCRUSTはフロントバッグ無しで約11.5kgくらい)
(Warbird Carbon サイズ56 この状態で8.7kgでした)
「楽しくなければ意味がない」
Salsa Cyclesの掲げるモットーがタイミング良く購入動機に刺さったこともあり、その時期に代理店からWarbird Carbonを借りてグラベルを含むロングライドをして、Warbird Carbonの潜在能力に触れたことも大きく、金属製の自転車を信仰していた自分にとって大きなカルチャーショックを喰らい、あらためて自転車に乗る楽しさを発見できたのはWarbird Carbonのおかげです。
ペダルを踏んだ力を余すことなく推進力に変えているような剛性感、長時間のロングライドやガレたグラベルでのライドも快適にこなせる振動吸収能力、同じ部品の内容で金属製の自転車と比べると明らかに軽い重量。
クロモリ鋼の自転車に乗っている時は、頑丈さこそ至高みたいな考えで、他のパーツもアルミ合金やクロモリ鋼の重くてゴツい物が多かったですが、カーボン製フレームに乗ってからは、他のパーツも軽いものに変わりました。
BMX的には軽いパーツはすぐ壊れる印象ですが、そもそもBMXと乗り方が違う自転車は無理矢理BMX的な組み方をしても乗り方とミスマッチが生まれ乗っていて楽しくない、となることを学びました。
今でも見た目の好みはクロモリ製自転車の方が好みですが、ペダルを漕ぎながら自分の自転車を見ることは稀なので、ライド体験を目一杯楽しむという目的のため、自分はWarbird Carbonに乗っています。
(フロントダブル仕様にして9.1kg)
ここまでが前置きだったのですが、満を持して本題に入ります。
これだけカーボン推しのため想像に易いと思いますが、とても良いカーボン製自転車が入荷したのでご紹介。
「SALSA Cycles Cutthroat Carbon GRX600」
カナダのアルバータ州から南米近くのニューメキシコ州までアメリカ縦断4400kmを走るレース「Tour Divide」
速く、快適に、そして楽しくTour Divideを走るために作られたSALSA Cyclesのハイエンドモデルです。
今から8年前に登場したCutthroart(以下カットスロート)は、Tour Divideのルート上にある州の川に生息するCutthroat Trout(ノドキリマス)から命名され、今ではTour Divideだけでなく海外で行われる数千kmの超長距離オフロードレースでは必ずカットスロートに乗っているライダーを見かけるほどメジャーな自転車となりました。
カットスロートの何がライダーの支持を得ているかというと、SALSA Cycles全モデルに言えることですが実用的であること。
SALSA Cyclesの自転車は見た目やカラーリングも良いですが中身の性能で勝負しているところが大きく、その性能もプロのアスリートに向けたものというより一般のサイクリストが目一杯自転車を楽しめるよう設計されているものが多いです。
カットスロートの性能で優れている点を挙げると、
・超長距離を速く、快適に走るための設計
・多くの荷物を詰めるスペースと、様々なアクセサリーを付けられる汎用性
・軽量で耐久性のあるカーボン製フレーム
ざっくりですが上記の3点がカットスロートの優れているポイント。
意外とよくありそうな性能ですが、「完成車」というところでこの3点をおさえているメーカーはかなり少ないです。
2015年に発表され2020年にアップデートされたカットスロートは、アドヴェンチャーレディ(冒険向き)というより、アドヴェンチャーオンリー(冒険専用)という趣きで、レース/ツーリング問わず長距離(100km前後)〜超長距離(数千km) の「オフロードメインのライド」に適しています。
特に大きな石や岩が転がるダートロードや、数百kmもグラベルロードが続くような道を走るライド向きなカットスロート。
”それ、日本で使うところ(道)あるの?” と言われてしまいそうですが、確かに海外のグラベルロードやダートロードのような道は日本では少ないです。
ただ、日本には日本のカットスロートの使い方があると思っていまして。
昔の山岳サイクリング(山サイ)では林道では自転車を漕ぎ、登山道では自転車を担ぐor 背負うスタイルで、自転車だけでは到達できない山の頂点まで登り、下りはシングルトラックや林道を自転車で走り下りる楽しみ方がありました。
今ではコンプラ的に登山道は自転車NGですが、荷物として担いだり、背負ったりして山を登り、別の林道を繋げてライドしたりするのはかなり面白そう。
自転車を背負っての登山は、普通の登山よりハードなのは想像に容易いですが、登山だけでは行けない行動範囲や、遊びの幅を広げる可能性を秘めているカットスロート。
もちろん舗装路でのライドも、一般的なグラベルバイクより乗車姿勢が前傾になりにくく、ドロップハンドルで手の位置を変えて腕の負担を軽減でき、太いタイヤで快適な乗り心地のライドが出来ます。
もう少しカットスロートのスペックをご紹介すると、
タイヤは29×2.2"サイズが付いており最大29×2.4"まで使えて、
ホイールはMTBで一般的なBoost規格、
コンポーネントはシマノGRXメイン11段変速と油圧ディスクブレーキ、
クランクはMTB規格のためRACEFCE、
多数のダボ穴にフレームバッグやケージなど様々なアクセサリーを取り付けできます。
(Teravail Sparwood 29×2.2"が標準付属 チューブレス化も容易)
(耐久性のあるBoost規格のホイール、アップグレードの選択肢も多い)
(シマノGRX リアのギアは11-42の11段変速)
(シマノGRX 油圧ディスクブレーキはオフロードでも安心の制動力)
(クランクはMTB規格のRACEFACE、チェーンリングの歯数は36T)
(ハンドル・ステムはSALSA Cyclesのアルミ製、他のパーツに換えれば更に軽量化可能)
(シートポストもSALSA Cyclesのアルミ製、サドルはWTBです)
ホイールやコクピット周りはアルミ製で耐久性重視のため、正直軽くないです。
それでも上記の状態で重量11kg(実測)
カスタム次第で9kg切りも現実的で、カスタムの妄想が膨らむ一台。
在庫サイズは56で適正身長は175cm前後がドンピシャかと。
ある自転車乗りが「自転車は人間のエネルギーを増幅させるアンプみたいなものだ」と話していましたが、カーボン製の自転車に乗ってこの言葉の意味が理解できた気がします。
自身のパワーを増幅させて、限界を引き上げるような感覚があるのもカーボン製の自転車ならではかもしれません。
ただカーボンも万能ではありませんし、鋼やアルミニウムなど金属の良さもあります。
使用用途、価格、見た目の好み、様々な要素がありますが、重要なのは乗り手にとってその自転車に乗ることが楽しいかどうか。
「楽しくなければ意味がない」というSalsa Cyclesのモットーは自転車乗りだけではなく、あらゆる物を使ったり、購入したり、経験するときに当てはまります。
カーボン製の自転車や部品は高価ですが、乗り手によってはその価格以上の価値や経験を得られるものです。
今、クロモリ鋼やアルミニウム製の自転車に乗っていて、その自転車に何らかの不満があったり、もっとライドを楽しみたい方は是非カーボン製のフレームや部品を試してもらいたいです。
(IF IT AIN'T MOTO IT'S WORTHLESS = MOTOでなければ価値がない→楽しくなければ意味がない)
最後にこちらのカットスロート、お値段は税込¥577,500-
この価格を高いと見るか、安いと見るか。
全ては使い方次第となりますが、海外での圧倒的な支持を鑑みると、
価格以上の経験が得られる自転車ではないかと思います。
キャンプ用品や寝袋を積載して日本縦断しながら各地のグラベルやダートロードの探索ライド、なんて妄想が膨らむカットスロート。
今までは想像で終わらせていた自転車での旅を実現させてくれる自転車かもしれません。